DAY 2
いたもり・ぼうづみ
8:00
──朝8時。
濃さが増した、甘い匂い。
ますます感じる、麹のエネルギー。その麹の力を後押しするように、職人の作業は、一気に進みます。前日の午後と同じように、ひと塊にしつつ、保温していた蒸米を、専用の機械に通し、ほぐしながら放冷。ほぐした蒸米を、一升五合ずつ麹板へ盛っていきます。
麹板は、地元の大工に依頼した杉材の特注品。
節があると、そこから壊れやすくなるので、節の無い板を使うなど、長く使える工夫も怠りません。
板盛りした麹板をひとまとめに重ねて、再び麹の成長を促します。
しまいしごと
14:30
──14時半。
ザー、ザー、ザー。
優しい雨にも似た「仕舞い仕事」の音。軽く指先を立てた手を前後に動かしながら、板の上で馴染ませるようにほぐし、平らにならしていきます。麹菌を再び行き渡らせるだけでなく、温度が上がり過ぎないように放冷も兼ねています。
麹室の温度は、30度前後。ただ立っているだけなら心地よい温度ですが、作業する職人にとっては、厳しい室温。それでもなお、手を休めることなく、ただ黙々と作業。仕舞い仕事の音だけが、静かに響きます。
いたづみ・こもがけ
仕舞い仕事の済んだ麹板には、水をたっぷり沁み込ませた藁薦(わらこも)をかけて、井げたに組みあげます。風の通りを良くして、たっぷり呼吸を。藁薦の布団が、気持ち良さそうに感じます。藁薦の布団に包まれて、さらに麹の菌糸が長く伸び、成長は進んでいきます。